AW#006 在りし日のことを | WORKS | GEN'U SHIRAISHI
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在りし日のことを

追憶、在りし日のことを "Think of by gone days" Art-works#006.

若くして事故でこの世を去った友人へ贈る詩作。

「在りし日のことを」(自作詩)

覚醒への願い 露となりて 果敢無く消えゆく
傍観に徹していた感慨を 繕ふては滂沱す
道化の悲しみは一向にわからぬ
笑う仮面のその下の 深遠たる悲しみは
一向にわからぬ

私は道化にはなれぬ
此れ人の性と云ひますか 此れ人の弱さと云ひますか
千曲の流れに涙を浮かべ 君が在りし日のことを
君が在りし日のことを

自らを磔にす 重き十字架を背負ひ 長く棘なる道に
華麗に踊る 君を知る
烈火のやうに美しく咲き誇りたる 君を知る
盲従した神は何処にか 是する祈りは何処にか
見えぬものへの盲信の 何と虚しきことたるかな
何と憎きことたるかな 其処に在るのは現のみ
君なく 悲しき現のみ
君が在りし日のことを
君が此処に在りし日のことを

残酷な空漠たる朝も 陽はまた昇り 地を照らす
新たな息吹の喜びか
私は道化にはなれぬ
煙草を一本喫らひては 狂ひたる時針を動かしまいと
君が在りし日のことを

君が此処に在りし日のことを
  
     
2011年 Size: 2800mm×2700mm
新潟大学書道科展