AW#014 Dots | WORKS | GEN'U SHIRAISHI
Now Loading...

Now Loading...

Dots. "Dots" Art-works#014.

書道芸術において、可読性の可否がよく議論の対象となる。非可読性は、書道芸術ではないという考えなど、様々な意見が錯綜し、一筋縄ではいかないのが現状である。文字を書けば書道なのか?
読めるものであれば書道なのか?なかなか答えを出すのは難しい問題である。
そんな問題に対して、”読める”ように何らかの定義付けをすれば、一見抽象表現に見うるものも書道として認識されるのかという実験的な試作である。
”読める”というルールを定義するために、1961年にルイ・ブライユより考案された点字のルール採用することとした。6点の有無、配置により定義付けされた点を筆を用いて書き、一見すると”ただの点の集合体”から”読解可能な表現”への転換を図ることを目的としている。

今回の作品に書かれている文字をルールに則してアルファベットに置き換えると、

「g」「o」「d」「i」「s」「d」「e」「a」「d」

つまり、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの言葉である「God is dead."神は死んだ”」
という言葉に置き換えられる。
この言葉を選んだ理由としては、この作品を制作する以前、遠藤周作の文学作品にひどく傾倒した時期があった。特に印象に残っているのは、代表作でもある『沈黙』に登場する言葉。
「我々が今まで信じてきた神は私たちに一体何をしてくれたというのか?」
という言葉である。 この遠藤周作の思想をなんとか作品として投影できないものかと考えたのが始まりである。
しかしながら信仰や崇拝、神といった思想を直接的に言葉にすることはリスクの高いことでもある。
そこで、思案としたのが”暗号化”とうことであった。

 暗号は、一見すると読めないが、ある規則性を持たせる事で読解できるものとなる。
 これに着想のヒントを得て、書道における可読性の問題とも相通ずるのではないか、と思い制作に踏み切ったものである。
  
     
2014年 Size: 1260mm×891mm
HAKU展(栃木県宇都宮市)